農力検定テキスト(コモンズ刊)

農力検定テキスト

 

いきなり1億総田舎回帰など無理な話です。田畑と居住地がかけ離れた首都圏では、本格的な半農半Xも簡単ではありません。では、どうするか。答えはロシアやキューバにありました。ソビエト連邦の崩壊で物流が停滞したロシアでは、市民それぞれが郊外の農園(ダーチャ)でジャガイモなどを育て、飢えを免れたといわれています。一方、そのあおりで石油の供給が断たれたキューバでは、住民が総出で都市農業に取り組み、それが食生活の基盤となりました。

 

そうです。いざとなったら、一人ひとりが自給し、みんなで支え合って共生する力を身につける。都市生活者には、もっと農力が必要なのです。

 

 

 *監修:一般社団法人 都市生活者の農力向上委員会
 *出版社:コモンズ
 *発刊:2012年7月
 *体裁:B5判112ページ
 *定価:1700円+税

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各章の構成意図

*第1章 キッチン農力検定

身近で土に触れられないアパートやマンション暮らしの都市生活者のために、手近で気軽に農力を高められるキッチン菜園を取り上げました。残った野菜の葉や枝などから、野菜が簡単に育てられるのです(なお、ベターホーム協会では『今日から育てるキッチン菜園読本』『キッチン菜園ノート』も発行しているので、参考にしてください)。

*第2章 ベランダ農力検定

庭がない住まいでも、プランターが置けるスペースがあれば、本格的な野菜作りができ、小家族の食卓であればかなりまかなえます。何より、自宅で育てた朝採り野菜がサラダで食べられる。その「やったね!」感を味わっていただければ、きっと朝食が、そして野菜作りが楽しみになるでしょう。著者はプランター栽培に詳しい竹本亮太郎さんです。

*第3章 市民農園農力検定

都会の日々に疲れたら、土に触れる「アーシング」で心と体を癒しませんか? 東京都内や都市近郊でも、ちょっと探せば市民農園がたくさんあります。半農半ライターの新田穂高さんが、長年の経験と新しい村(埼玉県宮代町の農業公園)の取材から、農薬や化学肥料に頼らずに市民農園で野菜を育てる農力と技を紹介しました。

*第4章 半農半X的農力検定

多くの読者がご存知の塩見直紀さんに、半農半Xの視点で農力とは何かを表現していただきました。いつもながら、とても示唆に富む内容ですし、半農を自給、半Xを共生と読み替えれば、本書のコンセプトにぴったりです。早くからその方向をめざされていたのだと、あらためて感心させられました。

*第5章 有機自給農力検定

本格的な自給農をめざすためのノウハウを、循環型有機農業の第一人者である金子美登さんに簡潔にまとめていただきました。地元の埼玉県小川町下里地区では、今シーズンから地域の若者が中心となって、有機野菜塾などを開催していくそうです。将来的には、田畑の滋養の源である里山を保全する「刈援隊」を都市生活者も巻き込んで組織する計画もあります。今後のますますの広がりに期待しましょう。

*第6章 コミュニティ農力検定

「農力」には「共生力」、すなわちコミュニティ対応能力も不可欠です。大和田順子さんが、農山村でのご自身の豊富な体験をもとに、都市農村交流の秘訣を明かしてくださいました。各地の現場に足しげく通い、信頼を得ている先達の知恵を、ぜひ参考にしてください。

*第7章 サバイバル農力検定

自給率が40%に満たない日本で食料輸入が途絶えたとき、都市生活者に問われるのは、経済力でも政治力でもなく、農力です。まだ増産できると言い張る人もいますが、それは石油や水が大量に確保できるという甘い前提に立った場合にすぎません。キューバの都市農業や世界の伝統農法にくわしい吉田太郎さんが、対処法を具体的に指南します。

*エピローグ

本当の豊かさと幸せを取り戻そう●第5章を書いていただいた金子さんが、40年間にわたる有機農業の歩み、内発的発展の理念に基づくムラおこし、エネルギーの自給などについて、「農力の向上」に思いを託しつつ、まとめてくださいました。実践から紡ぎ出されたその理念は、「本当の豊かさとは何か、幸せとは何か」を問いかけています。

 

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